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韓国「過激労組」が北朝鮮指令で活動か、最大野党代表にも浮上する“疑惑”

이강기 2023. 1. 21. 16:07

韓国「過激労組」が北朝鮮指令で活動か、最大野党代表にも浮上する“疑惑”

国際・中国元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

 

Diamond Online, 2023.1.21 
 
李在明民主党代表(右)は、数々の不正行為で検察の捜査を受けているが、北朝鮮の利権に絡む企業や地下組織との関係、北朝鮮との資金のやり取りに関する疑惑にも注目が集まっている(写真は昨年の大統領選前に党首討論に臨んだ尹錫悦氏と李氏) Photo:Pool/gettyimages
 
 

「過激労組」の民主労総に
北朝鮮との関係で家宅捜索

 筆者は昨年6月16日に『韓国経済を凋落させた『過激労組』驚きの傲慢ぶり』と題する記事を寄稿し、韓国を左傾化させ、民主主義とはかけ離れた社会に変貌させた要因について書いた。

 

 その中で、全国民主労働組合総連盟(略称「民主労総」)の「過激な思想と戦闘力は、文在寅(ムン・ジェイン)氏の思想と相まって、韓国に社会主義的な経済体質を導入する原因となった。さらに民主労総による社会秩序を崩壊させるような行為を文在寅政権は取り締まらず、むしろ助長したことから一層傲慢(ごうまん)になり、違法行動も当然のように行うようになった」と指摘した。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になり、その民主労総が北朝鮮工作員の指示を受け活動している組織であることが明らかになりつつある。韓国の情報機関である国家情報院と警察(以下スパイ防止当局)は18日、民主労総幹部らが北朝鮮工作員と接触したとして、国家保安法違反容疑で民主労総本部などに家宅捜索に入った。

 

 さらに後述するが、李在明(イ・ジェミョン)民主党代表の北朝鮮関与疑惑が注目されている。

 

 韓国社会が北朝鮮のスパイによって経済に混乱をきたし、日米韓の連携にもひびが入る状況である。こうした中、尹錫悦政権は韓国社会への北朝鮮の影響力を排除する取り組みを強めている。文在寅政権の流れをくむ、民主党や市民団体は抵抗しているが、尹錫悦大統領の信念が今のところ勝っているようである。

 

 北朝鮮の影響力の排除は、文在寅氏の影響力の排除につながって来よう。

文在寅政権が放棄した
北朝鮮スパイの取り締まり

 文在寅政権では、北朝鮮スパイの取り締まりをほぼ放棄したため、北朝鮮のスパイが市民団体の活動に入り込んでいた。

 9日付の朝鮮日報は独自取材に基づき、「『民主労総・市民団体を使って闘争せよ』…北の指令を受けていた済州のスパイ組織摘発」と題する記事を掲載、次のような内容を報じている。

 韓国済州の北朝鮮のスパイ組織「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」は、尹錫悦大統領当選直後の昨年3月29日、「韓米合同軍事演習に反対する大衆闘争を集中展開し、就任を控えた尹錫悦はもちろん米国にも強力な圧迫攻勢をかけなければならない」という内容の指令を受け取った。

 

 また、同日「民主労総4・3統一委員会、学校非正規職労組済州支部、建設労組済州支部をはじめとする進歩運動団体を組織し、進歩政党候補を後押しする支持運動を展開せよ」という指令を受け取った。

 

「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」のメンバーは組織化後5年3カ月にわたり北朝鮮の対南工作機関である文化交流局の指令を受け取って活動してきたことが判明しており、スパイ防止当局は5年以上事件を追跡し、昨年末に2度の捜索を実施したという。

 

 スパイ防止当局は、「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」は済州だけでなく韓国の他の地域でも結成された可能性があるとみて捜査を拡大している。

 

 

民主労総の幹部らが
秘密組織を構築した疑い

 前述の通り、スパイ防止当局は民主労総の元・現幹部4人の自宅と勤務地のソウル貞洞(チョンドン)にある民主労総本部事務室を家宅捜索した。また、京畿道水源(スウォン)、光州(クァンジュ)、全南(チョンナム)、済州(チェジュ)など全国10カ所ほどの事務室と住居、車両なども家宅捜索した。

 

 スパイ防止当局によると、民主労総幹部Aらは2016年から新型コロナ禍以前の19年まで海外において、北朝鮮労働党直属の対南スパイ工作機構である文化交流局の工作員の指令を受けた後、民主労総傘下の労働組合と地域本部に下部秘密組織を構築した疑い(国家保安法違反)を受けている。

 スパイ防止当局が注目しているのは、下記の3点だ。

 

(1)Aが北朝鮮から工作金を受け取ったり、不詳の内容物を取引した可能性。

 

(2)今回の民主労総事件が済州を基盤とする秘密組織の行動と似たパターンという点。総責任者と見られるAが数回にわたり海外で文化交流局所属の工作員と接触したと見ている。

 

(3)Aは北朝鮮と通信するために済州秘密組織のように北朝鮮文化交流局が開発した暗号プログラムなどで通信した疑い。

民主労総への家宅捜索に
一部の市民団体が反発

 民主労総の北朝鮮寄りの活動の一例として、韓国保守の論客で『月刊朝鮮』の元編集長、趙甲済(チョ・ガプチェ)氏は次のように紹介している。

 

 民主労総は昨年8月13日、韓国労働組合総連盟(韓国労総)、北朝鮮の朝鮮職業総連盟(職盟)が共同で開催した「8.15全国労働者大会(南北労働者決議大会)」で、米軍撤収、米韓同盟解体などを主張、連帯書と共同決議文を作成、朗読し、従北主義論議を提起した。

 

 共同決議文は、民主労総、韓国労総、北朝鮮職盟3団体名義の文書となっており、日付け表記などが北朝鮮方式になっている。前記のような内容と併せ、北朝鮮側が作成を指導したものと見られる。

 

 趙甲済氏は、長年北朝鮮の行動を見てきたジャーナリストであり、同氏によるこの大会が北朝鮮主導で行われたとの指摘は、韓国の市民団体が北朝鮮に牛耳られていることを物語っている。

 

 

 民主社会のための弁護士会(民弁)と参与連帯など七つの市民団体で構成された国家情報院監視ネットワークは民主労総に家宅捜索が入った1月18日、「国家保安法違反容疑で捜査中の事件を口実に、民主労総を相手に見せしめのような家宅捜索とメディア利用で、国家情報院改革の核心である対共捜査権移管を戻そうとする意図ではないかと疑われる」との声明を出した。

 

 こうした市民団体と民主労総の連携で北朝鮮のスパイ活動取り締まりをけん制するのも、北朝鮮スパイの謀略ではないだろうか。

文在寅政権で中断した
スパイ活動への本格捜査

 文在寅政権時代の国家情報院が、民主労総の中心幹部による北朝鮮工作員との接触を確認した時期は2017年であった。だが、本格的な捜査が行われるまでは6年の歳月と政権交代を待たねばならなかった。

 スパイ防止当局関係者は「当時、文在寅政権の国家情報院幹部が南北関係などを理由に事実上捜査を握りつぶして先送りしたと聞いている」と語った。

 

 労組・市民団体の幹部が東南アジアで北朝鮮の工作員に会った証拠をスパイ防止当局が確保しても、北朝鮮との関係に亀裂が入ることを恐れ、国家保安法違反による捜査を本格化できなかった。

 

 元安全保障担当者が「スパイ容疑の証拠が積み上がっており、捜査の幅を広げるべきだ」と報告しても、上層部は逃げ回って判断を示さなかったという。

 

 18年から19年にかけ、スパイ防止当局は今回捜査を実施した民主労総の元・現幹部による国家保安法違反疑惑以外にも、スパイ疑惑事件の証拠を相当数確保していた。

 

 これに危機感を覚えたのか、文在寅前政権は2020年11月、国会で圧倒的に優位な議席を占めることを利用し、国家情報院法改正案を単独で強行処理し、2024年1月から国家情報院の対共捜査権が警察に移ることになる。この件は当時の朴智元(パク・チウォン)院長が主導した。

 

 文在寅政権下でも、2021年に国家情報院の一部職員が「清州スパイ組織事件」を捜査し、起訴を通じて事件が明るみに出たことはあったが、総じて国家情報院の対共捜査は事実上中断されてきた。

 

 今回の捜査は、尹錫悦政権になって初めての本格的な対共捜査権の行使である。

 

北朝鮮のスパイ活動は
国会にも波及

 北朝鮮のスパイ活動は韓国国会にも及んでおり、民主党出身無所属の尹美香(ユンミヒャン)議員の元補佐官・チョ・ジョンソク氏が北朝鮮のスパイだと報じられている。同元補佐官は慰安婦問題と在日朝鮮学校支援運動にかかわってきたが、これらについて同氏が北朝鮮の送った報告を、国家情報院は把握しているとのことである。

 

 尹美香議員は正義記憶連帯(以下、正義連。旧称「韓国挺身隊問題対策協議会〈挺対協〉」)の前理事長である。北朝鮮はチョ氏を通じ、慰安婦問題の状況報告を受け、その解決を妨害してきたのであろう。日韓を離間させることは北朝鮮の政治的な思惑に呼応している。

 尹美香氏については補助金や寄付金の不正使用によって、ソウル西部地裁で懲役5年が求刑されているが、尹美香氏を終始かばい立てしてきたのが文在寅氏である。尹美香氏の捜査や裁判は大幅に遅れ、同議員が任期中に議員辞職することにはならないだろうといわれている。

 

 尹美香氏の親族や正義連の幹部らの中で、国内や欧州での北朝鮮スパイに絡む人物が次々に明るみに出ていることから、「一体、尹美香氏は慰安婦運動の金で何をやっていたのか」との疑惑が膨らんでいる。文在寅政権の補助金が北朝鮮に利用されている可能性も否定できないかもしれない。

李在明民主党代表の
北朝鮮事業や送金への関与疑惑

 李在明民主党代表は、城南都市開発やプロサッカーチーム「城南FC」に絡む数々の不正行為で検察の捜査を受けているが、北朝鮮の利権に絡む企業や地下組織との関係、北朝鮮との資金のやり取りに関する疑惑にも注目が集まっている。

 

 李明博氏は北朝鮮に関わるさまざまなプロジェクトを手掛けるために、側近の李華泳(イ・ファヨン)氏を「平和副知事」に任命し、取引にあたらせた。

 

 

 報道によれば、韓国下着メーカー「サンバンウルグループ」のキム・ソンテ前会長が17日、海外逃避8カ月で韓国に送還された。同前会長には北朝鮮への送金疑惑があり、同社の役職員数十人を動員して韓国国内で両替した金を個人の所持品に隠して出国する「分割送金」方式で北朝鮮に渡した金は640万ドル(約8億2000万円)に達するといわれる。

 

 17日に開かれたイ・ファヨン前京畿道平和副知事の賄賂および政治資金法違反の裁判でも、証人として出席したサンバンウルグループの前秘書室長A氏は「サンバンウルが京畿道の代わりに北朝鮮にスマートファーム事業費50億ウォン(約5億2000万円)を支援した」と述べた。

 京畿道議会では「スマートファームに関連した先端機器などを北朝鮮に送るのは制裁違反になる可能性がある」として事業予算を認めなかったことから、サンバンウルが代納したようである。それが出発点となり、その後も金品の伝達が続き640万ドルになったようである。

 

 キム前会長は京畿道の事業に関与していた。ただ、「ビジネスのために個人資金を(北朝鮮高官に)渡した」と認めながら、「李在明代表を全く知らない」と述べた。

 

 

 しかし、キム前会長は李在明民主党代表の弁護士費代納疑惑で捜査線上に浮かんでおり、李前知事がサンバンウルの法人カードを受け取っていたとも伝えられている。

 

 またサンバンウルは日本の“戦争犯罪”に関わる被害者と専門家を集めた国際会議「アジア太平洋の平和・繁栄のための国際会議」の開催にあたって多額の資金提供をしていた。反日活動は李在明氏の好む分野である。

 

 韓国は文在寅政権時代、日米韓協力に事実上背を向け、北朝鮮との関係改善を主要外交政策としてきた。日本との関係は元徴用工問題などがあり、史上最悪と言われるまでになった。米国との信頼関係も崩れていた。

 

 尹錫悦政権になって外交の見直しを進めているが、そのためには国内のバックアップが必要である。そのような時に北朝鮮のスパイによって国内世論の反対ムードを形成するようでは、信頼される国にはなれないだろう。

 

 スパイ組織や北朝鮮の影響下にあると思われる市民団体の取り締まりは、至急の課題である。

 

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)