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「中国・ロシアの秘めた野望」…習近平・プーチンの本当の関係と、ウクライナ戦争の今後の展開を読む

이강기 2023. 2. 28. 22:42
 
 

「中国・ロシアの秘めた野望」…習近平・プーチンの本当の関係と、ウクライナ戦争の今後の展開を読む

2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻して一年が過ぎたが、戦争は激しさを増す一方である。そんな中、中国外交トップの王毅氏が、22日までヨーロッパとロシアを歴訪。24日には「ウクライナ危機を政治的に解決することに関する中国の立場」を発表するなど、ここへ来て中国が存在感を見せ始めた。

そこで、中国問題コラムニストの近藤大介と、現代ロシア研究の第一人者・廣瀬陽子慶応大学教授が、「知られざる中ロ関係」について、徹底討論した。名乗りを上げた中国は、ウクライナ戦争を変えるのか――。(撮影/中野和志)

 

習近平主席のモスクワ訪問はあるか

 

近藤: 廣瀬さんとは、このたびご縁があって、『日本人が知らない! 中国・ロシアの秘めた野望』と題した共著を出させていただきました。同じユーラシア大陸に位置する大国の中国とロシアは、一体どんな国なのか? 習近平主席とウラジーミル・プーチン大統領の本当の関係はどうなっているのか? 両国関係の過去・現在・未来について、ひいてはウクライナ戦争の終結の仕方について、余すところなく議論した一冊です。

 

今日は、この新著の内容も踏まえながら、ウクライナ戦争とロシア、中国について、いま一番ホットな部分について議論していきたいと思います。

 

廣瀬: よろしくお願いします。

 

近藤: ウクライナ戦争が勃発して、先週でついに一年が経ってしまいました。この一年、廣瀬さんは日々戦況を注視して来られたと思いますが、いまどうご覧になっていますか?

 

廣瀬: そうですね、プーチン大統領は、先週2月21日に行った年次教書演説で、ロシアの軍事侵攻を正当化した上で、「ロシアを打ち負かすことは不可能だ」と強調しました。つまり、今後とも侵攻を続ける姿勢を明確にしたわけです。

 

ロシア人の多くは、1991年に西側諸国によって大国だったソ連が崩壊させられ、その後もロシアはずっと西側に虐げられてきたと考えています。今回もウクライナというより、その向こうにいる西側諸国と戦っているのであり、戦争は仕方ないと思っている人が多い。そのためプーチン大統領の支持率は、いまだに高いんです。戦争には反対でも、プーチン大統領を支持するという人もいます。

 

一方、アメリカのジョー・バイデン大統領も2月21日、ウクライナを電撃訪問した後に訪れたポーランドで、「ロシアがウクライナで勝利することは決してない」と力説しています。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談では、ウクライナへの新たな武器支援も約束しました。

 

こうした状況を見ると、ウクライナ戦争が終息していく糸口は見えて来ません。大変残念なことではありますが、当面はこのまま戦争が進んでいく可能性が高いと思います。

 

近藤: 本当に、21世紀の世の中で、まるで第二次世界大戦が復活したような戦争が、一年も続き、互いに大量の死傷者を出しているんですから、悲しい現実ですよね。

 

そうした中、ここへ来て「もう一つの大国」が顔を出してきました。すなわち、2月14日から22日まで、中国外交トップの王毅氏(党中央政治局委員兼中央外事工作委員会弁公室主任兼国務委員)が、ヨーロッパ(フランス、イタリア、ドイツ、ハンガリー)とロシアを歴訪したことです。外遊最終日の22日には、モスクワでプーチン大統領とも会見しました。ウクライナ戦争に関して、初めて中国が、世界に存在感を見せつけた格好です。

廣瀬: ロシアにとって、特にウクライナ侵攻後、中国は最重要のパートナーです。そのため何とかして、中国を味方に引き入れたい。王毅氏と笑顔で会見したプーチン大統領が、改めて習主席のモスクワ訪問を要請したことが、そうしたロシアの思惑を表していると思います。

 

近藤: 確かに、わざわざテレビカメラが入った冒頭で、「習近平主席のモスクワ訪問を期待している」と言っていましたね。中国側は習近平訪ロの件で、王毅氏の発言を報じていませんが、王毅氏は北京へ帰って、習近平主席と訪ロについて、いま一度検討したはずです。

 

 

ロシアが中国との経済関係を強化した理由

廣瀬: ところで、中国ではまもなく、3期目になる習近平政権が発足しますよね。

 

近藤: そうです。3月5日から、年に一度の国会にあたる全国人民代表大会が始まり、おそらく3月15日頃に、習近平氏が国家主席に3選されます。

 

私は10年前、習近平氏が初めて国家主席に選出された時、北京で見ていたんですが、3月14日午前に選出され、午後に最初に行った「仕事」が、プーチン大統領に電話をかけて、国家主席就任を報告することでした。そして翌週の22日には、もうモスクワに飛んでいた。それほど習主席は、プーチン大統領に憧れていました。

 

以後、これまで10年の習近平外交を一言で言い表せば、「プーチンべったり外交」です。これまでオンラインも含めて、42回もプーチン大統領と会談している。これは、故・安倍晋三元首相の27回の1.5倍以上です。

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廣瀬: これは近藤さんとの共著で詳述しましたが、習近平主席との初会談の時、プーチン大統領はこの中国の新たなリーダーを、それほど強く意識していなかったんですね。クレムリン宮殿で時代がかった歓迎式典を開き、「タヴァーリシ!」(同志)と呼んだら、それだけで習近平新主席は感激してしまった(笑)。

 

近藤: おっしゃる通り、10年前の初めてのモスクワ訪問は、習近平主席にとって「感激の旅」でした。崇拝する毛沢東主席が、1949年に新中国を建国すると、真っ先にヨシフ・スターリン書記長が君臨するモスクワを訪問したことになぞらえていたと思います。「タヴァーリシ」は、当時のスターリン・毛沢東時代に使われていた用語で、習近平主席が知っている唯一のロシア語のようです。

 

10年前の初訪問の際には、他にも、プーチン大統領から額縁に入れた写真を渡され、そこには1959年にモスクワを訪問した父親(習仲勲副首相)の姿が映っていた。これまた感激で、その父親の写真は、いまでも「中南海」の習近平総書記の執務室に飾ってあります。

 

さらにおそるおそる、「長期政権の秘訣を教えてほしい」と問うたら、1歳年上のプーチン大統領が、まるで兄貴のように説いた。

 

「それは二つの機関――軍隊とエネルギー産業を握ることだ。この二つさえ掌握していれば、決してライバルは現れない」

 

これでまた感激で、習新主席はプーチン大統領に、「これから毎年、5回会談してほしい」とお願いました。プーチン大統領が承諾して、またまた感激です。

 

 

過去100年の中ロ関係史が逆転した

近藤: ソチ冬季オリンピックの時は、中国側も、「超多忙なプーチン大統領が開会式前日、真っ先に習主席と会った」と大々的に報道するなど、前年の「感激ムード」が続いていました。

 

当時、習主席が最もライバル視していた安倍首相は、プーチン大統領と開会式翌日のランチ会談を行ったので、「日本に勝った」と誇示したわけです(笑)。

 

廣瀬: しかし、3月にロシアがクリミア半島を併合し、欧米や日本などが対ロシア制裁を発動すると、中国が「救世主」のようになっていきます。特に大きかったのが、同年5月に中国と交わした天然ガス契約でした。ロシアが中国に、30年間で計4000億ドルの天然ガスを売るという、中ロ関係史上、最大規模の契約を交わしました。

 

近藤: 上海で開催したCICA(アジア相互協力信頼醸成措置会議)ですね。これは習近平主席が初めて主催した国際会議で、プーチン大統領がメインゲストでした。

 

私はこの時から、習近平主席がプーチン大統領に、「優越感」を抱くようになったと見ています。中国が事実上、ロシア経済の命脈を握るようになったからです。

 

廣瀬: 同感です。この天然ガスのプロジェクトは、紆余曲折がありましたが、2019年12月から始動しています。

翌2015年5月には、プーチン大統領が習主席を、再びモスクワに招待しました。ロシアの対独戦争勝利70周年の軍事パレードを、仲睦まじく並んで閲兵しています。この時の首脳会談は、二人にとってすでに11回目でした。

 

近藤: 同年9月には、習主席も北京で抗日戦争勝利70周年の軍事パレードを行い、プーチン大統領と並んで、というより従えて、天安門の楼上で閲兵しました。この頃になると、「習近平>プーチン」、もしくは「中国>ロシア」という中ロ関係が、顕著になっていきましたね。これは、過去100年の中ロ関係史の逆転を意味するものでもありました。

廣瀬: プーチン大統領としては、面白くない展開でした。そのため、近藤さんとの共著でも詳細を話しましたが、2018年9月に極東のウラジオストクで開いた東方経済フォーラムで、ささやかな「仕返し」をしています。

 

この時、プーチン大統領と習近平主席が揃って、エプロン姿でプリヌイ(ロシアのパンケーキ)を焼くパフォーマンスを行いました。その後、プーチン大統領が蜂蜜を売っている屋台を指さして、「ロシアの蜂蜜はおいしいからプレゼントしよう」と言って、蜂蜜を習主席に渡した。当時、習主席は「くまのプーさん」と隠語で呼ばれていたため、「大好物の蜂蜜をお食べ」と、嫌味で渡したわけです。

 

近藤: その映像が世界に拡散したせいで、中国国内のネット上では、「くまのプーさん」が閲覧禁止になりました。私はそれまで、「くまのプーさん」をよく知らなかったのですが、改めてそのキャラクターを見ると、習主席そっくり(笑)。