春秋
- 日本經濟新聞
- 2019/8/24付
ムクゲがきれいだった。韓国では無窮花(ムグンファ)といい、国の花である。15日の光復節、文在寅大統領の演説の場で背後に咲き誇っていた。季節が来れば、つぼみをふくらませ、花々はあでやかさを競う。それに比べ、為政者の行いや考えの何と不確かなことか。
▼日韓で軍事情報を共有する協定(GSOMIA)を韓国側が破棄した。決断の引き金のひとつに、15日の演説とそれへの反応があったと報じられる。対日批判の調子を抑える努力をしたのに何の反応もなかったからという。思い込みやらすれ違いやら。この分では、ウメやサクラの季節まで冷えた関係は続くかもしれない。
▼最新の考古学の成果によれば、朝鮮半島から水田稲作が伝来したのは3千年前。水路の維持に人手が要るため、その後、長く続く社会のカタチが定まる契機となった。やがて鉄器ももたらされ、逆に日本の土器が半島で見つかる例だってある。いにしえから、複雑な政治が介在せぬ方が2国間の交流は充実するようなのだ。
▼現代だって若者は韓流ホットドッグに群がっているし、「平気なフリしてもまだ痛む別れの後遺症」なんて歌うK-POPグループも日本をツアー中だ。ムグンファの「無窮」は永遠の意。夏から秋に次々咲くことから名が付いた。花にならって、市民レベルの関心や交流を絶やさぬことで、風向きを何とか変えてみたい。
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