日本, 韓.日 關係

かみ合わぬ隣国~韓国の「人権攻勢」と「日本軽視」~

이강기 2020. 1. 9. 17:15

【地球コラム】

かみ合わぬ隣国~韓国の「人権攻勢」と「日本軽視」~   


長年の努力「ちゃぶ台返し」


時事ドットコムニュース

2020年 1月9日(木)

 日韓関係が険悪化している。韓国最高裁で日本企業に元徴用工への賠償を命じる判決が確定し、韓国政府は日韓合意に基づく慰安婦財団の解散を決定。追い打ちをかけるように韓国艦による自衛隊機へのレーダー照射問題も起きた。韓国はいったいどうなってしまったのか。韓国政府の対日姿勢と今後の出方、日本が進むべき道について考えてみたい。(時事通信社外信部編集委員・前ソウル支局長 吉田健一)



◇ ◇ ◇


 これらの中でも最も深刻なのが徴用工問題だ。韓国最高裁で昨年10月30日、戦時中に日本に徴用された韓国人4人の個人請求権を認め、新日鉄住金に賠償を命じる判決が確定した。


 1965年の日韓国交正常化の際に結ばれた請求権協定では、日本が経済協力資金を支払い、両国と国民間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」ことを明記している。判決は両国関係の根幹を否定する内容だ。


 日本政府は猛反発し、韓国政府に両国関係を損なわないよう対応を要求。韓国政府は検討に着手したものの、「日本政府が過剰に反応している」(外務省報道官)と批判を強め、具体的な対応策をなかなか示さなかった。そうこうしている間、韓国の裁判所は国内の新日鉄住金の資産を差し押さえた。最高裁判決に沿い、別の日本企業が敗訴する判決も相次いでいる。


 日本が韓国を併合し、支配したのは紛れもない歴史的事実だ。しかし戦後、国交正常化に向け、日韓が十数年間の長い時間をかけて知恵を絞り合い、請求権協定を結び、請求権問題を解決させたのも、また歴史的事実なのだ。

 これまでも日韓は歴史問題をめぐって対立することがあったが、元徴用工の請求権問題は韓国政府も「解決済み」との見解を貫いてきた。それでは韓国政府はなぜ日韓の長年の努力を「ちゃぶ台返し」する判決に沈黙しているのか。


 背景には日本に対する韓国の姿勢の変化があると考えられる。それがよく出ているのが左派系新聞・ハンギョレのパク・ビョンス論説委員のコラムだ。一部を引用する。


 「韓日間の65年体制を可能にした環境と条件は、とっくに変わった。普遍的人権意識が高まり、過去の日帝による野蛮な暴力は、普遍的人権の脈絡で再び照明を当てられている。一方、両国を緊密に縛ってきた経済・安保協力は、韓国の経済成長と南北関係改善などにより、その重要性が大幅に低下した」


 つまり①日本との歴史問題は、請求権協定などの約束よりも韓国、そして国際的な現在の価値判断を優先させる②経済的な格差が縮まり、安保協力の必要性も低下した日本との関係は重視しない-という姿勢だ。


 こうした考え方は左派・右派を問わず韓国の政治家や知識人に広く見られる。ただ、一般的には、日米韓の安保協力に重きを置く右派は「ソフト」、南北融和路線の左派が「ハード」路線と言える。




事実よりイメージ

 今後の韓国の対日姿勢のキーワードは「人権攻勢」と「日本軽視」だろう。事実や約束、国際法を重視する日本とは議論がかみ合わない状況が続くとみた方がいい。


 それでは、対立が強まる日本に韓国がどのような戦術を使ってくるか。それが垣間見えたのが、韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題だ。


 韓国側が照射を認めなかったため、防衛省は昨年12月28日に、当時の状況を撮影した映像を公開。これに対し韓国国防省は1月4日、反論の動画を公開した。


 4分26秒の動画の大部分はおどろおどろしいBGMつきの映画の予告編のようなつくり。しかし映像のほとんどは、日本の防衛省が公表した哨戒機撮影のもので、韓国海洋警察が撮影した哨戒機の飛行映像はわずかだった。


 自衛隊機への火器管制レーダーの照射を否定したものの、それを裏付ける内容はなし。一方で、「日本の哨戒機が低高度で進入した。なぜ、人道主義的救助作戦の現場で、低空、威嚇飛行をしたのか?」などの字幕を入れ、遭難漁船の救助という人道的な作戦中、日本側が低空飛行で威嚇したとして、逆に日本を非難した。

 動画は韓国語、日本語のほか、国連の公用語である英語、中国語、ロシア語、フランス語、スペイン語、アラビア語の計8カ国版が公表された。火器管制レーダーの照射から人道的問題に焦点をすり替え、問題は日本側にあるという「イメージ」を世界に広げようという狙いが見え見えだ。


 さらに、国防省ホームページにある動画のサムネイル(縮小見本表示)には、自衛隊機が韓国艦の上すれすれを飛行する合成画像が使われた。国防省当局者は指摘を受け、「編集されている」と認めた。


 これには正直、あぜんとするほかなかった。韓国では、日本との歴史問題では「被害者」である自分たちは多少行き過ぎたことをしても許されるという空気がある、とよく言われる。「反日無罪」とも言われるが、今回もそれが出たようだ。




「痛み分け」あり得ず

 徴用工、慰安婦財団解散、レーダー照射。最近の対立の種は韓国側がつくっていることは間違いない。自ら問題をつくり出して状況を変えた上で、日本側が「過剰反応」するのを問題視して泥仕合に持ち込み、「痛み分け」の形で事を進めようという戦略が浮かんでくる。


 それが意図的なのか、偶然なのかははっきりしないが、日本側は巻き込まれないよう警戒すべきだろう。文在寅政権には、朴槿恵前政権を否定する世論に応えなけらばならないという国内事情があるのかもしれないが、それを対日関係に持ち込むのは受け入れられない。


 徴用工問題で韓国側では、日韓の企業と両政府による「2プラス2」や日本政府を除く「2プラス1」で基金をつくり、元徴用工や遺族に補償する案が検討されている。しかし、請求権協定は日韓関係の根底であり、これを動かすことは「パンドラの箱」を開けることになる。日本としては「痛み分け」や妥協はあり得ないという立場を貫くべきだろう。


 韓国側が指摘するように日韓の国力の差は縮小しており、日本も本気で向き合わなければ相手ペースに乗せられてしまう。韓国の人権・人道主義のアピールは国際社会に受け入れられやすい面があるのも事実で、国際司法裁判所など、国際的な判断にゆだねる場合、慎重さが必要だ。世界的に影響力のある「韓流」に通じるイメージ戦略を駆使する韓国政府の情報発信をあなどると痛い目に遭いかねない。

 日韓のすれ違いは、両国の国民性の違いに起因する面もあると感じる。特に感情表現は対照的で、「日本人は10を考えても1しか言わないが、韓国人は1を考えると10を言う」などと言われる。日本を批判するときの韓国要人の発言やメディアの報道ぶりは日本人にとって、実際以上にどぎつく感じられる。


 韓国の露骨な日本非難は日本人の感情を刺激しやすい。そして日本側も韓国を刺激して応酬となり、勝つか負けるかの「ゼロサムゲーム」に陥ってしまっている。ネット上などで見られる口汚い非難合戦は憎しみしか生み出さない。日本人に求められる姿勢は、韓国などからの非難とは別に、戦後も含めた自らの歴史を学び、言うべきときには、意見をはっきり言うことではないか。


 韓国の知日派専門家を中心に、徴用工問題は国内問題として扱い、原告に韓国政府が補償する案も検討されているという。韓国メディアにも日本の事情を理解し、現実的な考えをする人もいる。


 韓国で長く暮らして実感しているが、一般の韓国人には日本に好意的な人が多い。このような人々を大切にしつつも、最近の韓国政府の対日攻勢には安易な妥協をせず、日本の立場を説明し続けることが、長期的には日韓関係にも有益だと考える。