【一筆多論】対韓「配慮」を促すときか
長谷川秀行
産經新聞
2020.6.30 13:00
新型コロナウイルス禍の報道で目にしない日のない世界保健機関(WHO)と字句が似ており、筆者もちょくちょく混同してしまう世界貿易機関(WTO)の事務局長選に、韓国産業通商資源省の高官、兪明希氏が立候補する。
それはそれで結構なことだが、対韓輸出管理の厳格化をめぐり、文在寅政権が日本の措置は不当としてWTOの紛争解決手続きを再開したばかりだ。昨年来、この件に関わってきた兪氏の出馬はやはり気になる。
兪氏は会見で、「WTOの国際協調体制の復元・強化は韓国経済や国益に重要だ」と述べた。さすがに個別紛争で韓国の代弁をするつもりはないようだが、160超の国・地域がひしめき、兪氏の言う「国益」がぶつかり合うのがWTOである。1字違いのWHOで中国寄りの事務局長が非難されていることをくれぐれも忘れぬよう願いたい。
それはともかく、再燃している輸出管理の厳格化である。筆者はかねて、日本の措置は兵器転用できる輸出品が韓国経由で北朝鮮などに流出することを防ぐ当然の措置だとしてきた。
日本は昨夏まで、韓国側の体制に不備があることを知りながら、そこに目をつむって輸出手続きに優遇措置を与えてきた。これをようやく見直した一連の措置は、WTOルールに反するどころか、日本が国際社会に果たすべき責務だ。韓国の提訴に対しても、あくまでも主権国家としての判断を貫き、WTOの場で堂々と反論すればいい。
解せないのは、韓国はおろか国内でも、相変わらず日本政府に措置撤回や見直しを求める論調が多いことだ。例えば朝日新聞はコロナ禍時代の日韓協調を論じた5月13日付社説で、安倍晋三政権は「対韓貿易規制強化を直ちに取り下げ、関係を立て直す必要がある」と指摘している。
朝日に限らずこうした言説の背景には、日本の措置を「徴用工」問題の報復と捉える見方があろう。それが貿易をゆがめているので撤回を促す。同時に韓国も徴用工問題を解決し、双方が歩み寄るべきだという筋立てが多いようだ。
ここはしかし、よく考えたい。政治的配慮で本来なすべき適切な輸出管理をやめることこそ貿易をゆがめること
にならないか。韓国は日本政府が問題視してきた法制度や体制の不備を解消したという。それなのに日本が措置を撤回せず、運用実態を見極めたいとしていることに反発したが、これもおかしな話だ。
例えば韓国政府は5月に輸出管理担当の部局を再編、増強し、専門の人員を30人規模にした。日本は120人規模なのだが、言いたいのは人数の多寡ではない。新体制が十分に機能するかどうかである。
国連安保理専門家パネル元委員の古川勝久氏は本紙6月23日付「正論」欄で、多くの韓国企業が国連の制裁違反となる対北朝鮮取引を疑われているのに、韓国政府はその実態の公表を拒んでいると指摘した。こうした現実をみると、韓国への優遇を復活させるかどうかは、よほど慎重に検討しなければなるまい。
中国や北朝鮮の脅威が増す東アジアで、同じ民主主義国である日韓が緊密な関係を持つことは重要だ。だからといって、問題の本質を脇に置いたまま韓国にいい顔を見せようとしても禍根を残すのみである。(論説副委員長)
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