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もし韓国でコロナに感染してしまったら……

이강기 2021. 1. 4. 15:54

もし韓国でコロナに感染してしまったら……

 

ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家

 

 

 

朝日新聞

2021年01月03日

 

 

明けましておめでとうございます。

 

 2020年は世界中が新型コロナウイルスで大ダメージを受けた年でしたが、今年はぜひ!全世界が明るくいい年になってほしいもんです!!

 

 しかしまだまだどこの国でも、新型コロナウイルス対策やワクチンの話題で持ちきり。どこかの国の首相は対応が早かったとか遅かったとか。本当に大変。

 

 今や誰がコロナに感染していてもおかしくないし、それを責めてもいけないと思う。

私の公演でも……

 

 ここ韓国でもコロナは猛威を振るい、最近の感染者数は毎日約千人だ。

 

 今日は、韓国で、もしコロナに感染してしまったらどうなるかを、簡単に説明したい。

 

 ここではコロナに感染すると、入院か、症状がない場合は自主隔離ですが、さらに無条件で各市町村のホームページで番号を付けられ公開されます。

 

 その近辺の住民すべての携帯にアラーム通知され、何日か前の動線も公開され、例えば、感染した人と同じ店にいた人たちへ連絡が行き、検査を義務づけられます。

 

 それは、お店に入る時、身元を記録しておくシステムになっているからで、最近ではある番号に電話するだけで良いとか、QRコードを読み取らすとか、いくつかありますが、それだけで、個人を特定できるということです。

 

 わたしも11月の後半、某楽団とコンチェルトをした翌日に、携帯にこんなメッセージが来ました。

 

 昨日の公演のスタッフの中に、新型コロナウイルス感染者との濃厚接触者がいました。その濃厚接触者も今朝その連絡を受け検査に向かっていて、結果は明日出るため、昨日の公演関係者は全員自宅で自主隔離してください。

 

 びっくりした!!

 

 もう本当にコロナは目前にいるんだと確信した。

 

 そこからはいろんなことを考える。その濃厚感染者っていったい誰だったのか? どれくらい近づいたのか? 食事の時に同席していた人? なんで、その日に会場に来たんだ!?

 などなど。

 

 けど、仕方ない。その人も仕事で来てて、今は検査に行っててどんだけ不安なのだろうかと思うと何も責められない。

楽団とのコンチェルト風景

 

 

 幸い、その人は陰性だったが、これがもし陽性だったとしたら大変なことになっていた。

 

 昨夜の某楽団のコンサートは出演者含めスタッフまでだと80人はいた。そして観客がコロナ対策で3分の1に制限されていて約300人。

 

 この計400人弱の全員が検査に行かなくてはならなくなり、うちその何人かは感染していただろう。

 

 そうでなくても、この公演は公的楽団が、公的劇場で行ったもので、実はその役所からの猛反対を押し切って主催者が開催したものだった。楽団の指揮者が、公演のない最近の暗い世の中のムードや、演者のことを考えてくれて、決行した公演だった。

 

 なので、なおさら感染者がでていてたら、その指揮者に全責任がいっていたに違いない。

 

 

みんなで助け合うことはできないの?

 

 結局、その濃厚接触者の陰性の連絡をうけて私自身も安心はしたものの、もし陽性だったら、 これまで感染した方たちに非常に申し訳ないけど、韓国では恐ろしいことになる。

 

 まずは家族全員で検査に行かなければならないし、私たちに会った全ての人に連絡し、謝らなければいけないし、仕事も学校もすべてキャンセルになって、携帯のアラームで番号付けられて動線付きで通知されていただろう。

 

 なので、韓国の方たちは多分、ほかの国の人たちに比べると、用心深いかもしれません。

w1snu.com/Shutterstock.com

 

 

 それと気になるのは、コロナ禍の中で起こっているコロナ格差。

 

 一言でいうと、稼いでいる人は普通にそれ以上もっと稼いでいて、稼げてない人たちは困り、それか死ぬくらい困っている。

 

 世の中がこんなに自粛自粛で、困る業種と困らない業種に分かれるのは、暗黙の了解で、悲しすぎる。

 なんの罪があって、こんなに苦しまなければいけないのか?

 

 主に、食堂、観光業、ホテル、公演、イベント、もっともっとあるでしょうが、ここら辺はほぼ全滅です……。

 

 収入が半分に減っても、税金は抜かれて行き……そんな税金で給料をもらっている人もいるわけで。韓国でも人気の職業に近年は「公務員」と「建物オーナー(大小含めビルのオーナー)」が入っています。

 

 このコロナ禍の中でも何も影響ないでしょうし、この間にも昇給さえしている人もいるでしょう。

 みなさん、よく考えてみてください。

 

 皆さんが疲れて元気のないときに、だれが元気づけてくれました?

 

 おいしいお店で外食したり、旅行に行ったリ、いい公演を見たりして、心と体を癒したでしょ。癒してくれている人たちが、今窮地に立たされて、困っているのです。

 

 国からいろいろな支援金が出ているのも知っていますが、そんなのでは全然足りないのです。

 

 みなさんの1か月でなく、ほぼ1年の給料が出なかったと想像してみてください。支払いや銀行は待ってくれません……。それよりも利子をつけて儲けようとしているところもありますから。

LegoCamera/Shutterstock.com

 

 

 何とかならないものかな? みんなで助け合うことはできないのか?

 

 政治家たちは心の底ではこう思っているのでは?

 

 “学生時代に勉強しなかったからこうなるんだよ”って。

 

 

 

私も仕事が飛んでメンタルがズタボロに

 

 世の中、勉強のできる人、お金稼ぎがうまい人、スポーツが得意な人、歌がうまい人、料理が上手な人、美術にたけてる人、いろいろな得意があって、共存しみんな一生懸命生きていると思います。

 

 それを認め合って、にわか協力でなく、家族のように心配して心底助け合えるような世の中になってほしい。「自己責任」の一言で終わってしまっていいのでしょうか。

 

 私も某楽団のコロナ騒動による自主隔離中に、今年数少ない仕事の一つが飛びました。たかがそれだけで、メンタルがズタボロになりました。

 

 私なんかは全然ましですが、コロナ感染の恐怖の中で、仕事にも影響が出るとこんなに怖いとは思いませんでした。

 

 いち早く、ワクチンや抗体の研究や普及が全世界に広まることを祈って。

 

 今日はここまで。