スクープ
コロナ告発で亡命した女性学者が語る「中国政府の壮絶追い込み」
スクープインタビュー 「新型コロナウイルスは武漢研究所から流出した」と告発して中国を追われた研究者が 日本メディアに初めて登場
FRIDAY Digital, 2022年 6月2日(木)
FRIDAYの独占取材に応じたイェン・リーモン博士。アメリカでの亡命生活中も、常に身辺には注意しているという
「すでに3年近くも経過しているのに世界的なパンデミックは収束しない。その責任は中国共産党並びに中国政府にありますが、彼らはそれを覆(おお)い隠すように人々の認知を超えたフェイクニュースを流し続けています。それは『超限戦』と呼ばれる中国特有の戦術であり、私が発信する事実を封じ込めている。そのことを日本の皆さんにも知ってほしいと思います」
武漢で発生した新型コロナウイルスの初動調査を担い、その後アメリカに亡命して、ウイルスが中国・武漢の研究所で人為的に作られたと告発した閻麗夢(イェンリーモン)博士。日本メディアとしては初めてFRIDAYの独占インタビューに応じた。
いまも中国政府の圧力を受けている彼女は、アメリカでどんな生活を送っているのか。インタビューから、中国政府が、イェン博士の発言や行動にいまも過敏に反応していることが見えてきた。
彼女の運命を変える指示が下されたのは’19年12月31日のことだった。ウイルス学の世界的な研究機関である香港大学公共衛生学院でウイルス研究に従事していたイェン博士は、武漢で感染が広がっていたコロナウイルスの調査を命じられた。2週間余りの初動調査で明らかになったのは人から人へ感染し、アウトブレイク(感染拡大)が確実になっている状況だった。
香港大学はアジア地域の感染症の状況について、WHOに報告すべき責務がある。ところがウイルス学の権威ある研究者であるイェン博士の上司たちは、一様に「この件から手を引くように」「あまり深入りすると消されるぞ」と、イェン博士に通告してきたのだった。
「上司の判断は、ウイルス学の専門家として、とても容認できないものでした。武漢の状況はすでに世界的パンデミックを引き起こすことを示していたからです。
また、調査で得たエビデンスは、これが自然界から発生したウイルスではなく、人為的に作られたものであることも示していました。その時すでに習近平党総書記・国家主席のオフィスにもこの情報は伝えられていた。つまり、中国政府は隠蔽(いんぺい)することを決断したのです」
その後、’20年1月にイェン博士は「人から人へ感染するウイルス」であることを、中国語メディアを通じて初めて世の中に明らかにした。その報道以降、上司や中国当局からの彼女や親族へのプレッシャーが増していったことで、イェン博士は、同年4月にアメリカに亡命することを決意した。
「香港からロサンゼルスへ向かう機内にいた14時間ほどの間に、中国当局は青島の実家の両親をはじめ、幼稚園から大学までの私の友人に接触していました。さらに、アメリカ当局にも『イェンが拉致された』とウソの情報を提供して私の身柄の確保を依頼していたのです。
ロスの空港に到着すると税関・国境警備局の職員と共にFBIの捜査官が待っていました。万事休すかと覚悟したのですが、私の経歴やこれまでの経緯を詳しく説明すると、私の身の安全を図るように手配してくれたのです。アメリカは事実やエビデンスを重視する国だと実感しました。こうして私は最終的な目的地であるニューヨーク行きの飛行機に乗ることができたのです」
イェン博士への中国政府の執着ぶりは異様なものだった。アメリカにわたってからも、イェン博士をなんとか中国に引き戻そうと躍起になっていた。
まず青島の両親から「帰ってきなさい」と執拗に電話がかかってくるようになり、連絡を絶たざるを得なくなった。一人っ子政策のただなかに生まれたイェン博士は、親不孝を余儀なくされたことに精神的なダメージを受けた。
また同じ香港大学の同僚でもあった夫もアメリカに来て、頻繁にイェン博士を連れ戻そうとしていた。イェン博士は、夫の背後に中国政府の存在を感じ取り、彼に別れを告げざるを得なくなった。
「それだけではありません。中国政府はありとあらゆるネットワークを使い、アメリカ人の研究者も使って私を黙らせようと圧力をかけてきた。私は亡命後、FOXニュースに出演し、中国政府の隠蔽工作を批判しましたが、インタビューしてくれた司会者のタッカー・カールソンさんへの嫌がらせが相次いだのです」
’20年9月から翌年3月にかけてイェン博士は、新型コロナについての3つの論文を発表。ウイルスが人為的に作られたものであることを告発する「イェン・レポート」として注目された。’21年1月から2月には、WHOが武漢研究所に調査に入っている。
レポートの発表以降、イェン博士の人格を否定する情報がSNSをはじめ世界の情報プラットフォームには溢(あふ)れている。
「中国政府は、コロナウイルスについての事実に基づく情報を人々が理解できないように、ミスリードさせるような情報を大量に流すことで、圧倒しているのです。しかし、ファクトは一つしかありません。幸い心ある医師の世界的ネットワークが、私のことを熱心に支援してくださっている。
10年先か、20年先かはわかりませんが、私のレポートがパンデミックの検証に役立てられる日がくるでしょう。そのためにも、いま自分にできることをしっかり頑張らなければいけません」
その日を待ち望みながら、イェン博士は亡命生活を続けている。
「FRIDAY」2022年6月3日号より
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