北韓, 南北關係

北朝鮮ミサイル開発の歴史から見えるもの

이강기 2022. 2. 7. 16:22

写真左は2022年1月5日、右は同11日にそれぞれ北朝鮮が行った「極超音速ミサイル」の試射【朝鮮通信=時事】

 

北朝鮮ミサイル開発歴史からえるもの

 

対米抑止交渉カード 

 

 

礒﨑敦仁のコリア・ウオッチング

時事通信社

20220131

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 年明々から北朝鮮がミサイル実験しているこれまで年初めの発射米韓合同軍事演習反発する意味めて、1連続発射実験異例である先代金正日政権17年間16のミサイル発射実施したが金正恩政権下10年間では100えた過去すればくべきスピードで開発んでいることは看過できない

 

 北朝鮮メディアは、111発射した極超音速ミサイルを試験発射じた。11については2020月以来、110ぶりに金正恩氏実験っており実験最終試験発射であったとえらえた新型ミサイルの完成宣言である一方、14には鉄道車両から短距離弾道ミサイル発射された。「鉄道機動ミサイル連隊戦闘員戦闘準備態勢検閲して火力任務遂行能力めるためのものとされたのである

 

 昨年朝鮮労働党大会ぶりに開催されたそこでは金正恩総書記ミサイル開発大号令、「兵器システム開発年計画策定されていた事実公表されたそのつが極超音速ミサイルの開発であり同年12党中央委員会政治局会議では兵器現代化目指方針とともに訓練第一主義げられていたつまり今年ってされている新型ミサイル実験実戦意識した訓練いずれも昨年決定された党方針づいたものである

 

テポドンショック

 

 北朝鮮弾道ミサイル開発関心せるようになったのは1970年半ばとわれるソのデタント緊張緩和)、米中接近ながら自主国防意識めた時期である日本北朝鮮のミサイル開発注目めたきっかけは冷戦終結後93発射されたノドンであったさらに98テポドン発射実験日本上空えたことできな衝撃、「テポドンショックなどとされた北朝鮮側はこれを人工衛星光明星1』搭載した白頭山1』ロケットの主張したがその直前には朝鮮中央通信論評じて北朝鮮自身がミサイルを輸出していることをめていたミサイルは貴重外貨獲得一手段でもあったのだ

 

朝鮮労働党創建60周年朝鮮人民軍軍事パレードに金正日総書記=200510北朝鮮平壌AFP時事

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 金正日政権ミサイル開発きの材料としてもフル活用した。200010には趙明録チョ・ミョンノク国防委員会第副委員長金正日国防委員長特使として訪米クリントン大統領との会談、「米朝共同コミュニケ発表されたそこで北朝鮮はミサイル問題する協議いているはすべての長距離ミサイルを発射しないことを約束したのであった

 

 しかしミサイル発射凍結かなかった米朝関係紆余うよ曲折、2006テポドン2」発射もっとも北朝鮮側はこれをミサイルとはばず試験通信衛星光明星搭載したロケット銀河1」げと主張した

 

 10には核実験っておりとミサイルが一体開発されていることがより明確になった日本国内北朝鮮する世論硬化日朝間往来していた貨客船万景峰マンギョンボン)92」入港禁止するなど日本政府独自制裁強化したのはこの時期からであった

 

 2009にはテポドン改良型」(北朝鮮主張によれば試験通信衛星光明星2」搭載したロケット銀河2」)発射され翌月には回目核実験実施されたここまでが金正日時代である

 

 

中東諸国教訓

 

                    2017大陸間弾道ミサイル火星14」試射成功金正恩朝鮮労働党委員長朝鮮通信時事

 

 201112金正日氏死去金正恩政権移行してからはミサイル開発きが格段顕著となる12時点ではまだ人工衛星という口実維持していたものの、13経済建設核開発たな並進路線提示されると国際社会制止1411、15発射実験強行した

 

 ミサイル開発集中的められたのは兵器開発格段めるという政府声明発表された16から、ICBM(大陸間弾道ミサイル発射、「国家核武力完成政府声明として宣言した1711までの期間である。1617年間だけで核実験、40のミサイル発射実験されたのである

 

 ミサイル開発最大目的対米抑止力強化することにある米朝1950年代朝鮮戦争以来長年にわたって対立けてきた米朝軍事力非対称的でありいざ戦争となれば北朝鮮体制崩壊いやられることはいようがない朝鮮人民軍100万人以上兵力するが経済的困窮から通常戦力では太刀打ちのしようがないためミサイル開発特化することで米国脅威えてきたのである

 

 1991社会主義陣営盟主であり北朝鮮軍事同盟んでいたソビエト連邦崩壊92にはもうつの同盟国である中国北朝鮮敵対する韓国国交正常化たしたノドン発射はこの翌年である。「うことへの恐怖心北朝鮮ミサイル開発てた一因えられている

 

 えて米国9・11テロのアフガニスタン攻撃でタリバン政権イラク戦争でフセイン政権崩壊させた経緯北朝鮮はつぶさに観察してきた金正恩政権きな影響えたとえられるのは、NATO(北大西洋条約機構によるリビアへの軍事介入である金正日国防委員長死去して金正恩政権事実上発足したのとにリビア内戦勃発最高指導者のカダフィ大佐殺害された北朝鮮はそれらを核兵器などの大量破壊兵器保有していなかったがために米国介入したのだとめた金正恩氏はそのことを中東諸国教訓んだ

 

 ミサイル開発進展対米抑止力強化するだけでなく対米交渉開始されれば交渉力としても活用できる手持ちのカードはければいほど細切れにしやすくいわゆるサラミ戦術可能になるということだ

 

 史上初米朝首脳会談がシンガポールで開催された2018北朝鮮核実験ミサイル発射実験わなかったところが翌年のハノイでの回首脳会談決裂するとびミサイル発射実験傾注するトランプ大統領裏切られたという気持ちがかったのか、19には最多25発射された

 

 

転機となった2017

 

写真上北朝鮮国防科学院った極超音速ミサイルの試射参観する金正恩朝鮮労働党総書記)、写真下はミサイル軌道すとみられる画面=202211朝鮮通信時事

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 北朝鮮ミサイル開発、「国家核武力完成宣言した2017区切りとしてたなステージへったとえられる。18中断19年以降断続的にミサイル発射けているが、17でフェーズがなっていることはらかだ。17年以前よりも射程距離ばし米国本土ICBM保有することに全力げていたこれに近年潜水艦からの発射実験短距離でも変則的軌道飛翔する新型ミサイルの開発など探知迎撃されにくい性能向上っている

 

 いつか米朝交渉再開されて米国からICBM放棄られたとしても在日米軍在韓米軍射程れたミサイルさえ手元しておけば対米抑止力確保できるそのためには日米韓弾道ミサイル防衛網をかいくぐる技術革新有事えた訓練して兵力実効性めておくことが必須である冒頭紹介した党方針からはそんな計算がうかがえる

 

 また、2017までは核実験新型ミサイル発射実験のたびごとに金正恩氏っている様子きくじられ同氏権威付けとしても活用された北朝鮮世界10にもたない核保有国一員、5しかっていなかったICBMれた指導者祖父父親もできなかったことを達成して世界からの注目びているすごいではないかという宣伝扇動である

 

 ミサイル開発最大目的抑止力であり、「交渉カード確保副次的いだとするならば最高指導者権威付けや国威発揚効用だったくして父親権力継承した金正恩氏にとってミサイル開発らの権威政権基盤盤石にするための重要なツールでもあった

 

 2017国家核武力完成宣言した北朝鮮ミサイルの精度めようとしている無論、18発射ゼロ物語っているように米朝対話再開というたなフェーズへとにはこうした実験実施しづらくなるだろうえば没交渉状態こそ々と兵器開発めることができるチャンスだとえているがある弾道ミサイル発射国連安保理決議違反ではあるが核実験とはなり中国反応抑制的であることもその背景にはあるだろう

 

筆者紹介

 

礒﨑敦仁氏

 

礒﨑 敦仁いそざき・あつひと

 

慶應義塾大学教授北朝鮮政治

 

1975年生まれ慶應義塾大学商学部中退韓国・ソウル大学大学院博士課程留学在中国日本国大使館専門調査員北朝鮮担当)、外務省第三国際情報官室専門分析員警察大学校専門講師米国・ジョージワシントン大学客員研究員ウッドロウ・ウィルソンセンター客員研究員歴任著書北朝鮮観光」、共著新版北朝鮮入門など