北韓, 南北關係

今も北朝鮮の政治、経済、軍事に影響力を与えるシャーマンの存在

이강기 2022. 2. 16. 15:16

今も北朝鮮の政治、経済、軍事に影響力を与えるシャーマンの存在

 
金正日のシャーマンは2004年の龍川駅での大爆発を予見した?
 
JB Press
2022.2.16(水)

 

「シャーマニズム政治」は、シャーマンの助言で国家の主要な決定を下し、実行する政治である。北朝鮮は極秘裏にシャーマニズム政治を実践してきた。シャーマンを要職に座らせ、助言と占いで主要課題を決定してきたのだ。北朝鮮のシャーマニズム政治は金日成時代から金正日時代を経て、金正恩時代の今も続いている。北朝鮮のシャーマニズム政治はどのような姿なのか。

 

 2004年4月22日午後0時10分頃、北朝鮮の平安北道龍川郡(ピョンアンプクト・ヨンチョングン)の龍川駅で大爆発が発生した。硝酸アンモニウムを積んだ貨物車両と軽油を積んだタンクローリーが交換作業中に衝突。電車の高圧電線が切れて油類輸送列車の上で炎が燃え上がり、大規模な爆発事故が起きたのだ。

 

 龍川駅周辺の多くの建物や民家が破壊され、150人余りが死亡、1300人余りが負傷した。爆発地点に15メートルの穴が空いたことからも大規模な爆発だったと推測できる。

 

 イスラエルの情報機関モサドの仕業という説、軽油を盗もうとした人が起こしたという説が出るなど、北朝鮮史上最大の爆発事故である。

 

 爆発事故の8時間前、金正日氏が乗った列車が龍川駅を通過した。中国訪問を終えて帰国する金正日氏の1号列車は、午前4時頃に龍川駅を通過し、朝6時頃、平壌駅に到着した。金正日氏に同行した護衛司令部の軍官は、金正日氏の特別書記だったシャーマンをあざ笑ったという。

「大明天地の明るい世の中で、金正日元帥の暗殺事件が起きようか。特別書記の取り越し苦労に疲れるばかりだ」

 

 だが、8時間後に龍川駅で大規模な爆発事件が起きたという知らせに護衛司令部はもちろん、金正日も驚いた。爆発事故は金正日氏が乗った1号列車が通過する予定だった時間に起きたのだ。なぜ金正日氏が乗った列車は8時間も繰り上げて龍川駅を通過したのだろうか。

 

 

予定よりも早く丹東を出るべきだと主張したシャーマンの勘

 中国訪問を終えて北朝鮮に帰国する1号列車は、4月21日午後7時頃、北中国境の最後の関門である中国・丹東駅に到着した。金正日氏は丹東の鴨緑江招待所で、遅くまで丹東市の党書記と晩餐会を行った。翌日午前11時頃に丹東駅を出発し、北朝鮮の新義州駅に向かう計画で、新義州から15キロ離れた龍川駅は午後0時頃に通過する予定だった。まさに爆発事件が起きた時間である。

 

 金正日氏の中国訪問に同行していたシャーマンのキム氏は、午前2時頃、警護責任者を訪ねて今すぐ帰国するよう要求した。悪い予感がするので、未明の時間帯に平義線(平壌-新義州鉄道線)を通過しなければならないと言ったのだ。

 

 護衛責任者は少し不満を感じたが、金正日氏が特別に任命したシャーマンの意見には従わざるを得ない。そこで、中国側に帰国を通知し、午前2時50分頃に丹東駅を出発。鴨緑江の親善橋を渡って新義州に向かった。新義州駅には止まらず、午前4時頃に龍川駅を通過している。予定通り午後0時頃に通過していたら、金正日氏と1号列車に同乗した人々はこの世にいなかっただろう。

 

 金正日氏はシャーマンに、爆発事故を予見して変更したのかと尋ねたが、シャーマンの答えは簡単だった。

「私がどうやって事故を知ることができるでしょう。シャーマンは自分だけの感が働きます。私はただその感を信じただけです」

 シャーマンに対する金正日氏の信頼はさらに深まり、シャーマン政治に弾みがつくことになった。

 

 

第2回ハノイ会談の趨勢を見通していたヤン氏

 金正恩総書記の特別書記であるシャーマンのヤン氏は、2019年2月、ハノイで行われる2回目の米朝首脳会談に参加する金正恩氏に、「今回の会談は心を空にして旅行のつもりで行ってきてください」と語ったという。

 

 金正恩氏はハノイで行われる2回目の米朝首脳会談を前に、飛行機ではなく列車で、多くの芸術団の一行と数千キロかけてハノイに向かった。金正恩氏は見送りに来た党と政府の幹部に「待っていろ。すごいプレゼントを持ってくる」と言った。それだけ、金正恩氏がハノイの米朝会談にかける期待は大きかったのだ。

 

 その金正恩氏に「今回の会談は心を空にして旅行のつもりで行ってください」と言ったのだから、金正恩氏の機嫌が良いはずはない。金正恩氏は別のシャーマンを同行させたという。 しかし、米朝首脳会談は2日目に決裂し、金正恩は何の成果も上げられないまま帰国の途につくことになった。

 

 北朝鮮に戻った金正恩氏は、シャーマンのヤン氏を呼び、「旅行のつもりで行くように」と言った理由を尋ねた。シャーマンのヤン氏は、成果が訪れるまでには時間を要するためだと答えたという。政治評論家のような意見を慎重にしたのだ。以下、ヤン氏の解説である。

 

 

幹部人事でも反映されるシャーマンの意見

 北朝鮮には、『餅をくれる人は考えないが、キムチスープから飲む』(取らぬ狸の皮算用)ということわざがある。今回の米朝会談がまさにこの通りだった。北朝鮮に核兵器を放棄する考えはなく、米国も制裁を解く考えはないのに、米国と北朝鮮の仲介者を名乗り出た韓国政府の言葉を信じたため、2日目の決裂という結末になってしまった。

 

 第1回シンガポール会談で、米国は韓国と内密に話し合ったプランBとプランCが北朝鮮に伝わったことを知っただろう。そのため、第2回ハノイ会談で、米政府が韓国政府に本心を伝えなかった可能性がある。その韓国政府の言葉を聞き、寧辺核施設を放棄すれば制裁を解くと信じたことが間違いだった。

 

 ハノイ会談で、韓国と米国の関係は私たちが考えているほど親密ではないことがわかった。今後は米国との直接取引が必要だし、米国もそう考えるだろう──。

 

 金正恩氏は、シャーマンのヤン氏を信頼するようになった。

 北朝鮮のシャーマニズム政治は、政治、経済、軍事、外交のいずれでも行われており、党幹部の人事でも反映されているという。最高職位に就いた人が金正恩氏に忠誠を誓うのか、裏切るのかをシャーマンの見地でフィルタリングしている。

 

 シャーマニズム政治は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が独裁政権を維持するために活用する手法の一つである。