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韓国で、なぜか「日本の桜」をめぐって「伐採事件」が巻き起こったワケ

이강기 2022. 5. 10. 21:04

 

韓国で、なぜか「日本の桜」をめぐって「伐採事件」が巻き起こったワケ

 

桜は日本のモノか、韓国のモノか…?

 

 

羽田 真代
週刊現代, 2022.05.04
 

 

韓国で「桜」をめぐって騒動が起きたワケ

韓国では新型コロナウイルスによる社会的距離確保措置が段階的に緩和され、日本よりも先に日常生活が戻ってきそうだ。

 

そんな韓国でも日本より少し遅れて桜が見ごろを迎えた。桜の名所では過去2年間、感染防止のために花見が禁止されていたが、今年は全面開放されて花見を楽しみたい韓国人らによって賑わいを見せた。

 

そうした中で、ある男性がソウルの汝矣島(ヨイド)でデモを行い話題となった。

                                                          桜をめぐって騒動勃発 photo/iStock
 

全身白い衣服を身にまとい、白い帽子とマスクにサングラスという完全防備のその男性の手には「桜は日本の花」という文句と日の丸が書かれた旗があった。彼は「韓国人なのに日本の花である桜を見て楽しんでいるのが信じられない」としきりに叫んでいた。

 

また、順天(スンチョン)市にある生態文学教育園近くの人工芝サッカー場とインラインスケート場では、3月に一帯に植えられた樹齢15年の桜の木3本とヒトツバタゴ25本が市民の手によって伐採されたという事件もあった。

 

伐採した人は、警察の取り調べに対し「日本の奴らが桜の木を通じて電磁波を発しているせいで頭が痛い。だから木を切った」と述べたという。

 

 

桜は「日本」のもの、「韓国」のもの…?

人々の行動規制を緩和することは経済活動を活発化させることに繋がるから望ましいことなのだが、韓国人の行動規制を緩和させると「反日運動」まで活発化する。そんな皮肉な声が聞こえてくる騒動となっているわけだ。

 

実際、このデモや木の伐採報道を見た一部の韓国人からは、「そもそも桜は日本発祥じゃない」「日本の桜は韓国から渡ったものだ。それを日本人が横取りした」という声も聞こえてくる。韓国に植えられている多くの桜は日本のソメイヨシノだとすでに証明されているが、いまだにすべての桜は韓国発祥だと信じてやまない人たちが多いのだ。

                                                         日本の桜も「反日」に材料に… photo/iStock
 

せっかくなので、韓国の「東北アジア植物多様性研究所」が2022年1月に行った“驚きの発表”についてもご紹介しよう。

 

東北アジア植物多様性研究所は「王桜プロジェクト2050」という社団法人を設立し、済州産の“王桜”という韓国固有桜の植樹運動を展開すると発表した。

 

現状、済州島を除いて韓国全土に植えられている桜のほとんどは日本原産のソメイヨシノで、これを2050年までに王桜に植え替えることを目標とするという。

 

同研究所のヒョン・ジンオ所長が「現在、全国で発起人を募集しており、山林庁長の許可を得て法人を設立する予定だ」と述べた。

 

 

ソメイヨシノを抜く、と…

この研究所は2002年に設立された研究所で、前身は「東北アジア植物研究所(1968年~)」という組織だった。

 

事業分野は生物相調査、生態系調査、インベントリーの構築、生態空間の地図作成、基礎調査及び学術研究の遂行などで、ホームページのインベントリー紹介欄には“独島(日本の竹島の韓国名)”の写真データがしっかりと掲げられているような研究所だ。

 

彼らは、竹島に生息する植物の研究にも携わっており、「独島で生息している植物は60種類余りあり、植物の研究においても非常に重要な島だ」というヒョン所長のコメントが「独島財団」のブログで紹介もされている。

 

ヒョン所長は済州島出身者で、地元の高校を卒業してソウル大学に進学するまで済州で暮らしていた。王桜の故郷出身であることも、このプロジェクトを立ち上げたひとつの理由だろう。王桜にかける思いは人一倍強いに違いない。

 

 

そのため、今回のプロジェクトをめぐっては日本由来のソメイヨシノを韓国全土から排除したいと願いもあるのではないかと指摘されているようだ。

 

 

日韓桜「起源」論争

春になると日本各地で咲き乱れるソメイヨシノは日本の気象庁が桜の開花・満開を判断する「標本木」としており、日本における観賞用桜の代表種である。

 

この品種は、江戸時代後期に開発され、その後日本全土に広がった。

 

 

「東北アジア植物多様性研究所」による「王桜プロジェクト2050」を報じた朝鮮日報は「日本が王桜の自生地を済州島と認めないため論争が続いたが、2018年に韓国山林庁の国立樹木院がゲノム解析を実施して済州島の王桜と日本の王桜は異なる種だということが確認され、論争に終止符が打たれた」と紹介している(「『日本の桜を抜いて、済州の王桜を植えよう』キャンペーン始まる」2021.01.26)。

 

それでも、一部の韓国人は「ソメイヨシノは韓国が起源だ」と主張してきた。余談ではあるが、長年「ソメイヨシノは韓国原産だ」と主張してきた人たちは、通常、“桜”のことを“벚꽃(ボッコッ)”と呼称するが、品種をいう時には日本のソメイヨシノも韓国の王桜も“王桜”と区別せずに呼ぶそうだ。

 

 

「同胞の思い」を踏みにじる行為

韓国にはいまなお、日本統治時代に植樹されたソメイヨシノや、1960年以降に在日韓国人らによって送られた6万株のソメイヨシノ、また、1974年朴正煕(パク・チョンヒ)大統領によって日本から輸入されたソメイヨシノの多くが生息している。

 

日韓併合は1910年からであるから、多く見積もってもソメイヨシノの樹齢は110年。朴正煕大統領の命令によって植えられた桜であれば樹齢50年程度だ。日本のように樹齢1000年を超えるような大桜はもちろん韓国全土どこを探しても存在しない。

 

ようやく花見ができるほどに育ったソメイヨシノを引き抜き、2050年までの30年ほどで済州産の王桜に植え変えてしまえば、韓国の桜は当分花見を楽しめなくなるに違いない。

 

 

それよりも、在日韓国人や朴正煕大統領らによって植樹された桜を引き抜こうというその考えは、同胞の思いを踏みにじる行為に値することにもなる。

 

 

日本品種のソメイヨシノを伐採し、絶滅危惧種である済州島の王桜を繁殖・増殖させて王桜の世界化を実現させたいという行為は、これまでの同胞の想いをどう考えているのだろうか――どうしても、もう少し視野を広げて物事を見て判断すべきだと思ってしまうのである。