「尹錫悦外交」に見る日韓関係の光明…「慰安婦・徴用工・竹島」問題にどう向き合うべきか
元駐韓大使と徹底解剖(後編)
現代ビジネス, 2022.06.21
文在寅前大統領と半日デモ
近藤: 先日、大阪のテレビ『正義のミカタ』(朝日放送系列)でご一緒した時に、司会の東野幸治さんが武藤大使のことを、「文在寅批判評論家」と紹介していましたね(笑)。それくらい武藤大使の文在寅(ムン・ジェイン)批判は的を射ていて、前編でも炸裂しましたが、まだ言い足りないようなので、冒頭でどうぞ。
武藤: 前編で、文在寅前大統領の隠居生活について話したでしょう。5月9日に「青瓦台」(チョンワデ=韓国大統領府)を離れた後、農村で静かな余生を送ろうと、韓国南部の慶尚南道梁山市平山村に移り住んだところ、デモ隊が溢れて、韓国で最も騒々しい場所になってしまった(笑)。
そうしたら文在寅氏は5月31日、デモ隊を警察に告訴したわけです。さらに6月3日、文親衛隊である野党「共に民主党」の国会議員10人が、集会・示威法に定められた「100m以内のデモ禁止対象」に、前職大統領の私邸を新たに追加する法改正案を、国会に提出しました。
近藤: 文在寅政権の時は、「政敵」の李明博(イ・ミョンバク)元大統領の私邸前で同じことをやっていて、止めるどころかむしろ煽っていたわけですよね。
武藤: そうです。それで今日言いたいのは、私のかつての勤務場所であり、最後にはトップにもなったソウルの日本大使館も、長年にわたって違法なデモ隊の犠牲者だったということです。
慰安婦団体の韓国挺身隊問題対策協議会(「挺対協」、現「正義連」)は、1992年以来、30年間にわたって、毎週水曜日の昼になると、日本大使館前で慰安婦問題について日本政府の対応に抗議する大規模なデモを行ってきました。
しかも、挺対協の要求通りに日本政府が対応してくれなかった時には、日本大使館を包囲して業務を妨害し、トマトや卵などを投げ込んできた。激しい時には、火炎瓶が使われたこともありました。大使館前には韓国の戦闘警察が配置され、警護していましたが、見て見ぬフリです。
近藤: 私もソウルへ行く時には、なるべく水曜日を挟むようにして、慰安婦団体のデモを見に行っていましたが、凄まじく激しいですよね。あれでは日本大使館の通常業務なんかできやしない。文在寅前大統領の私邸前のデモは、「口撃」だけで、モノは飛んできませんからね。
武藤: そもそも、私邸と公館は法的にも異なります。外交に関するウイーン条約第22条2項は、こう定めています。
〈 接受国は、進入または損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する 〉
これを受けて韓国政府は、各国大使館から100m以内での示威活動は禁止しているのです。
近藤: 日本大使館だって「各国大使館」に含まれるでしょう。
武藤: もちろんです。日本大使館前でのデモも、100m後方に下がらなければならないはずです。しかし挺対協は、「これはデモではなく記者会見だ」と称して、日本大使館前でデモを続けてきました。
近藤: 文在寅政権も、ウイーン条約に則ってデモ隊を排除することはなかったわけですね。
武藤: 文在寅政権というのは、実質的には「デモ隊応援団」ですよ。民主党の幹部も参加しました。日本大使館の前に設置された慰安婦像についても、同条の公館の威厳に関わる問題であり、早期に撤去すべきと再三申し入れてきましたが、梨の礫でした。
今後の日韓関係を占う「3大問題」
近藤: さて、その日韓関係が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になって改善していくのかという話です。特に「日韓3大問題」と言われる「慰安婦・徴用工・竹島」が、どう動いていくか。
武藤: 前編でも言いましたけど、日本は長期的ビジョンを持って、改善していかないといけない。要するに、韓国側のごり押しを認めないということです。日韓関係を根本的に改善しないといけないというのは尹錫悦政権の側も同じ思いのはずです。
近藤: まず慰安婦問題についてです。2015年12月、安倍晋三政権と朴槿恵(パク・クネ)政権の時代に、岸田文雄外相(当時)がソウルを訪問し、いわゆる「日韓慰安婦合意」がなされましたね。
武藤: その通りです。「日韓慰安婦合意」とは、簡単に言えば、韓国側が財団(「和解・癒やし財団」)を設立し、そこに日本側が10億円を出資して、韓国側が運用する。それによって慰安婦問題は、「最終的かつ不可逆的に解決した」とすることです。
しかし、あろうことか、文在寅大統領は、「元慰安婦の意思を十分汲んでいない」などと言いがかりをつけて財団を解散し、日韓の合意を反故にしてしまったのです。
近藤: 文在寅大統領を見ていると、「まず反日ありき」という感じでしたからね。「日本=悪」という固定観念があって、そこから外交政策を構築していく。口では「未来志向」と言いながら、やってることは完全な「過去志向」でした。
武藤: あれ、近藤さんもだんだん、文在寅批判が板についてきましたね(笑)。
近藤: はい、武藤師匠には遠く及びませんが(恐縮)。
武藤: 私が、日韓関係が変わるだろうなと予感したのは、「政策協議代表団」という形で日本に特使を派遣してきた時です(4月20日~24日)。
団長は鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長、副団長は韓日議員連盟幹事長で元大阪総領事の金碩基(キム・ソクキ)議員。尹氏の外交ブレーンである朴喆熙(パク・チョルヒ)ソウル大教授、尹徳敏(ユン・ドンミン)元国立外交院長ら7人です。
その中には日韓婦合意の時の実務責任者であった李相徳(イ・サンドク)外交部北東アジア局長も含まれています。彼はそのために文在寅政権でシンガポールを更迭されていました。この一行は韓国を代表する知日派たちで、皆私の友人・知人です。
近藤: まず同盟国のアメリカに特使を派遣し、2番目が日本でしたね。受け入れた日本側は、岸田首相が面会するかどうかで、侃々諤々の議論になった。
武藤: 会ったのは正解だと思います。実際、岸田首相や林芳正外相など、韓国側が面会を希望した日本の要人は、ことごとく応じました。それが、日本の国益を考えた正しい選択だったのです。
近藤: 私もあの時は、岸田首相は絶対に会うべきだと思っていて、面会予定日の前日夜になっても首相官邸が煮え切らないと聞いて、思わず官邸の知人に電話をかけたんです。「江戸時代の徳川将軍だって、朝鮮通信使が12回来たけれども、毎回謁見していましたよ」と言って(笑)。
武藤: 実はあの時、鄭鎮碩団長が尹錫悦氏の「親書」を岸田首相に手渡しました。鄭団長は記者団の問いかけにこう述べたんです。
「(5月10日の)大統領就任式に岸田総理が出席されるか、されないかは、出席する側が決めることですが、もし出席された場合には、最大限のおもてなしをします」
まさに対日重視を明確にした発言です。同時に来られなくてもダメージを最小限にする発言です。日本側の難しい事情を理解した政権だということです。
近藤: 結局、岸田首相は出席せず、林外相が出席しましたね。
ちなみに21世紀に入って韓国大統領就任式への日本政府要人の参加者は、2003年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の時は、小泉純一郎首相。2008年の李明博大統領の時は、福田康夫首相。2013年の朴槿恵大統領の時は、麻生太郎副総理兼財務相。日本のトップもしくはナンバー2がきちんと参加しているんですね。
2017年の文在寅大統領の時は、日本政府からの要人参加はありませんでした(笑)。ただ当選からすぐで、基本的に大使が代表で出席していました。
忘れ難い「民主党(野田)政権の愚」
武藤: 尹政権関係者が日本側の事情を理解しているという意味では、尹錫悦氏は大統領選の時に元慰安婦と会って際に「日本に謝罪させる」と言ってましたが、いまは「彼女たちの名誉と尊厳を回復させる」という言い方に変わっています。
尹大統領の側近で、6月7日に駐日大使に任命された尹徳敏元国立外交院長は、「慰安婦問題で、日本から声高に『解決済み』と言わないでほしい」というメッセージを、日本側に送ってきています。つまり、韓国側でせっかく丸く収めようとしている時に、日本から強硬な声が飛び出すと、収まりがつかなくなるというわけです。
近藤: その気持ちは分かります。そういった水面下の「阿吽の呼吸」のような関係が韓国と築けることになったこと自体、進歩ですね。文在寅時代は、向こうが取りつく島もなかったですから。
武藤: その通りです。私は日韓外交を40年やって来ましたが、そうした「阿吽の呼吸」のような水面下のやりとりは、多々ありました。左派政権でも、金大中(キム・デジュン)政権なんかとは、そうした関係が築けていました。
ただ、いまでも後悔する思い出が一つあります。それは、2011年12月18日に京都で行った野田佳彦首相と李明博大統領の日韓首脳会談です。この時、私は駐韓大使として深く関わったのですが、最大の懸案事項が、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像でした。
ところが野田首相は、「ダメだ」の一点張りです。それで首脳会談で、李明博大統領がブチ切れて、「日本がそういう態度なら、今後韓国のあちこちに慰安婦像が建つだろう」と捨て台詞を吐いたのです。まさに李明博大統領が、親日派から反日派に変わった瞬間でした。
その翌年には、李明博大統領は軍服姿で竹島に上陸したり、天皇陛下に謝罪を要求したりしましたが、それらの原点はこの時の日韓首脳会談にあったのです。
近藤: なるほど、そんな経緯があったんですね。あの時の会談の話は、当時の民主党議員から聞きましたが、「いわば『日本酒会談』で、両首脳が乾杯を何度もして大いに盛り上がったよ」なんてノー天気なことを言っていました。
ただ私も「異変」は感じていました。私は当時、北京に住んでいて、あの会談の翌月、李明博大統領が訪中したんです。
当時の一番の話題は、日中韓FTA(自由貿易協定)交渉をどう進展させるかということでしたが、李明博大統領は胡錦濤主席や温家宝首相に対して、「日本を除外して韓中だけで進めよう」としきりに説いた。中国側が「日本も入れないとダメだ」と押し戻したんですが、「なぜ突然、日本外しを言い出したのか?」と不思議がっていました。
武藤: とにかく慰安婦問題に関しては、「民主党(野田)政権の愚」を踏まないことです。
近藤: 本当ですね。2015年に岸田外相が決着させた「日韓合意」という「土台」があります。かつ韓国政府に「登録」された元慰安婦の方は、もともと240名いましたが、現在の生存者は12名です。何百人もいれば話は複雑でしょうが、12名の方々と真摯に話し合えばよい。
武藤: 文在寅政権によって解散を余儀なくされた「和解・癒やし財団」の基金も、まだ5億円ほど残っています。それを有効に活用しつつ、元慰安婦の方々の名誉を回復してあげることです。
「日本は何もしません」で済めばいいですが、それではさすがの尹錫悦政権も持たないでしょう。ただ、改めての謝罪は韓国側の要求を受け入れることであり、将来に禍根を残しかねません。
そこで例えば、1993年の河野談話を始めとする過去の日本政府の見解を、大使が元慰安婦に会って再度伝えるなどの方法論で、解決へ向けた協力をしてはどうかと考えます。森健良外務事務次官は、かつて北東アジア課で韓国担当をしていたし、うまくやってくれると期待しています。
徴用工は参院選後、竹島は長期的な課題に
近藤: 二つ目の難題である「徴用工問題」はどうですか? 三菱重工業と日本製鉄の韓国での資産の一部がすでに差し押さえられ、日本側が「レッドライン」としている「現金化」されるリスクは続いたままです。
武藤: こちらは、「代位弁済」しか解決方法はないと思いますね。つまり、元徴用工への賠償金の支払いを、韓国政府が肩代わりするという案です。5月26日には、前述の尹徳敏氏も講演で、「代位弁済」に言及しています。ただ、元徴用工に気持ちの面でどう配慮するか、工夫が必要でしょう。
近藤: 岸田政権としても、いまは選挙前で動きにくいから、7月10日の参院選後ということになるのでしょうね。
最近も、尹錫悦政権発足前日の5月9日に、調査船が竹島南方の日本のEEZ(排他的経済水域)内を航行。5月29日には、再び調査船が作業しているのを海上保安庁が確認し、韓国政府に抗議しています。
武藤: 竹島に関しては、韓国側は、1910年から1945年までの日本の植民地支配は、1905年に竹島を保護領としてから始まったという解釈をしています。そのため、現在の実効支配を強めていこうという意識が韓国国民のコンセンサスになっています。
そんな中、尹錫悦大統領としては、海洋調査の申請が出れば、「いまは待て」とは言いにくい。もちろん、日本としては抗議を続けていくべきとは思いますし、より効果的な抗議という意味で、日本側が領有権を主張する具体的な根拠を明示していくべきです。
韓国側は抵抗するでしょうが、それを歴史的事実として淡々と主張したらいい思います。短期的に解決を急いでもいい結果は生まれません。長期的課題と捉えるべきです。
近藤: 私は竹島問題は、日本人の意識を高めることから始めるべきだと思っています。例えば、韓国の日々のテレビニュースの天気予報を見ていると、必ず「独島の今日の天気は晴れです」とかやっている。しかし日本人は、日本列島全図で、竹島がどこにあるか示せない人の方が多いのではないでしょうか。「島への執着心」が、日韓で雲泥の差なのが問題です。
武藤: そうしたことも含めて、やはり領土問題は長期的に考えるべきです。
尹大統領の心は中国ではなくアメリカにある
近藤: おしまいに、今後の東アジア情勢を俯瞰して見ていきたいと思います。シンガポールで開かれていた「シャングリラ対話」(アジア安全保障会議、6月10日~12日)で、6月11日に日米韓防衛相会談が実現しましたね。
のっぽのロイド・オースティン防衛長官を中央にして、向かって左手に岸信夫防衛相が、右手に李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防長官が並び立った映像を見て、時代は変わったと痛感しました。
武藤: 会談では単に北朝鮮の弾道ミサイル発射に懸念を示すだけでなく、2017年以来実施されなかった3ヵ国によるミサイル警戒や、弾道ミサイルの探知、追尾と言った訓練を行うことを表明しました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性も強調しました。
北朝鮮に対し非難するだけでなく具体的対応を示したことや台湾海峡の問題を取り上げたことは良かったと思います。
ただ、日韓の防衛相・国防相の二国間会談を行わなかったのは、北朝鮮に対して、隙を与える雰囲気を作ったのではないでしょうか。歴史問題は極めて重要ですが、日米韓の連携を強化することが短期的には国益になると思います。
日米韓の連携は他の何にも増して緊急の課題です。それを棄損することはできません。例えば、近未来に朝鮮半島有事が起こった場合、日本も否応なく後方支援に回ることになります。
また、ウクライナ危機が発生したことで、アメリカ軍は、ヨーロッパ、中東、東アジアという「3方面展開」を迫られています。つまり東アジアにおいては、これまで以上に、日韓の連携とアメリカ軍へのサポートが重要になってくるのです。
近藤: 尹錫悦新政権と中国との関係はどうでしょう? 例えば、韓国における中国の経済的存在感は、他国を圧倒しています。東京で言えば銀座にあたるようなソウルの明洞(ミョンドン)の真ん中に、周囲を睥睨するように中国大使館が聳えています。
昨年の中韓貿易額は3600億ドル規模に達し、3700億ドル規模だった日中貿易額を、おそらく今年初めて抜くと思います。いまやキムチだって、中国山東省で作っていたりする。
武藤: 近藤さんの言われることも一つの側面ですが、2016年のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備の問題で、韓国と中国の関係が悪化したでしょう。中国が「限韓令」(韓国を制限する指令)を出したものだから、韓国でも対中感情が悪化した。いまやますます嫌中感情が高まっています。
それに韓国企業も中国から引いていく趨勢にあります。中国への輸出は中国内の韓国企業への部品素材の供給という側面が大きかったので、中国の重要性は低下する方向でしょう。それでも文在寅政権は中国に媚びていたけれど、尹錫悦新政権は、完全に日米の側に付くということです。
近藤: それでは、来たる8月24日に、中韓国交正常化30周年を迎えますよね。私はその機会に、習近平主席が国賓として尹錫悦大統領を北京に招待する可能性があるのでは。
武藤: これまで、朴槿恵、文在寅と2代大統領が訪中しています。今回は順番としては習近平が訪韓する番だというのが韓国内の通説です。北朝鮮との関係で、中国は重要なプレイヤーであることは間違いありませんが、中国は北朝鮮の問題で韓国に協力的ではありません。文在寅氏であれば違った見方でしょうが。
近藤: 確かに、尹錫悦大統領の心はアメリカの側にあるでしょうね。韓国は先月、アメリカが主導して立ち上げたIPEF(インド太平洋経済枠組み)に参加していますし、今月13日(ワシントン時間)には、訪米した朴振(パク・ジン)外務長官が、アントニー・ブリンケン米外務長官と会談した。今月下旬のNATO(北太平洋条約機構)首脳会議には、尹錫悦大統領が参加するかもしれません。
武藤: 経済的なことを付け加えると、先月訪韓したバイデン大統領は、最初の訪問地がサムスン電子で、最後の訪問地が現代自動車でした。韓国を代表するこの2社が、中国ビジネスから引き始めていて、アメリカに新たに巨額の投資をするからです。「中国依存はリスク」という発想が、韓国の財閥に定着しつつあります。
日韓関係が再び悪化するとしたら
近藤: 最後にもう一度、日韓関係に立ち戻りたいのですが、毎度裏切られてきたせいか、私はどうもこの先、日韓関係が順風満帆に進んでいくとは思えないのです。先ほど、武藤大使が明かしてくれた李明博大統領の「変節事件」はその典型例ですよね。
これは一つの仮説ですが、このところの日韓関係が悪化しているのは、歴史問題とかではなくて、「日韓の実力接近」が真相ではないかと。かつて日本経済の1割しかなかった韓国経済は、すでに日本の3分の1を超えています。
防衛費(軍事費)は共に6兆円規模で、ほぼ互角まで来ました。いまや日本には、世界一のスマホメーカーのサムスンもなければ、「世界のアイドル」BTS(防弾少年団)も存在しない。日本人の多くが使っているLINEだって、親会社は韓国企業です。韓国から見た貿易相手国としては、日本は昨年、ついにベトナムにも抜かれてしまった。
つまり韓国にとって日本は、もはや「恐れる相手」ではないわけです。そこに「積年の恨み」があるものだから、複雑な感情となって降りかかってきている……。
武藤: 「日本何するものぞ」という意識が芽生えていることは確かです。それであれば、韓国側は、これまでのように日本は韓国を支配したのだから譲歩すべきという考え方は捨てるべきです。
日本が戦後韓国に協力してきたことを韓国人は知らなさすぎる。韓国政府が浦項製鉄を作ろうとして世銀、アジア開発銀行から断られたとき、新日鉄の稲山会長は、日本は韓国を支配したのだから、韓国の望むことはできる限り協力すべきだとして、出来上がったのが新日鉄です。その新日鉄が徴用工では資産の現金化の危機にあります。いい加減にしてほしいものです。
なお、日韓関係に40年携わってきた元外交官として言わせてもらうと、日韓関係が悪化するのは、韓国が日本に対して、誠意を見せて関係を改善させようとしているのに、日本がこれに逆行する行動を取ったと韓国側が思い込んだ時です。盧武鉉政権-小泉純一郎政権時代の靖国参拝問題然り、朴槿恵政権-安倍晋三政権時代の慰安婦問題然りです。
だからこそ、今度の尹錫悦政権の日本に対する「秋波」を、われわれがきちんと受けとめてあげることが大事なんだと思います。
近藤: そうですね。「文在寅政権の日本の天敵」として韓国で有名人だった武藤大使が、再び訪韓できそうなことも、日韓関係改善の一助になるのではないでしょうか。
武藤: 友人の尹徳敏新駐日大使には、訪韓ビザを出すよう言いますよ(笑)。
〈了〉
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