日本, 韓.日 關係

対中国の「アジア版NATO」に、日本が参加できない「致命的な理由」

이강기 2022. 7. 3. 13:40

 

対中国の「アジア版NATO」に、日本が参加できない「致命的な理由」

「都合のいい国」と思われている

 

NATO首脳会議への招待

北大西洋条約機構(NATO)が6月28日、スペインのマドリードで首脳会議を開き、ロシアや中国をはじめとする権威主義勢力との 対決姿勢を鮮明にした。一部には「アジア版NATO」創設という議論もある。はたして「日本がNATOに加わる日」は来るのか。

 

まず、今回の首脳会議の意義を整理しよう。

 

ポイントは3つだ。NATOがロシアと中国を、どう位置付けているか。日本など、アジア太平洋のパートナー国との連携はどうなったか。それから、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟である。

 

首脳会議は、12年ぶりに新たな「戦略概念」という文書を採択した。NATOがいま直面している課題と、それに対する政治的、軍事的対応方針を簡潔にまとめた基本文書だ。全部で16ページだが、本文は11ページにとどめている。

 
                                           NATO首脳会議に集まった各国のリーダーたち[Photo by gettyimages]
 

戦略概念の文書は、ロシアについて、同盟と欧州・大西洋地域の平和と安全にとって「もっとも重大で直接的な脅威」と認定した。一方、中国については「中国の野心と強制的な政策は、我々の利益と安全、価値観に対する挑戦」としたうえで「政治的、経済的、軍事的手段を駆使して、世界的な影響力を強め、力を行使している」と記した。

 

ウクライナを侵略したロシアが、欧州にとって目下、最大の脅威であるのは言うまでもない。戦略概念は「我々が直面している脅威はグローバルであり、相互に関連している」と記した。だからこそ、地理的に遠くても、中国は欧州にも脅威になりつつある。

 

そうした認識に基づいて、首脳会議は今回、初めて日本と韓国、オーストラリア、ニュージーランドの首脳を会議に招待した。今後、定期的に呼ばれる可能性もある。韓国はNATOに常駐の連絡官を置く方針だ。日本も検討すべきだろう。

 

戦略概念は、こう記している。

 
〈インド太平洋はNATOにとって重要だ。その地域における出来事が、欧州・大西洋の安全保障に直接、影響を及ぼすからだ。我々は地域をまたぐ挑戦に対処し、安全保障の利益を共有するために、インド太平洋における新しいパートナーとの対話と協力を強める〉

 

あまり報じられなかったが、NATO首脳会議とほぼ同じタイミングで、実は、米国と日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国がワシントンで、新たな会議「ブルーパシフィックにおけるパートナー(PBP)」の初会合を開いた。

 

中国の太平洋島嶼国への進出を念頭に、中国をけん制し、自由・民主主義陣営の影響力を強める狙いで、新設された会議だ。5カ国は6月25日、共同声明を出して「気候危機や海洋の安全保障と保護、保険、繁栄、教育など、あらゆる分野での協力を深める」と宣言した。

 
                                      太平洋島嶼国への進出を狙う中国の習近平総書記[Photo by gettyimages]

 

顔ぶれを見れば、すぐ分かるように、5カ国のうち、米英オーストラリアは軍事的枠組み「AUKUS(オーカス)」のグループである。そこに、日本とニュージーランドが加わった形だ。ということは「将来、日本とニュージーランドも参加するAUKUS拡大を視野に入れている」と見えなくもない。

 

「アジア版NATO」の可能性

 

PBPの発足と、NATO首脳会議が日韓など4カ国を招待したことを考え合わせれば、NATOがアジア太平洋に手を伸ばして「やがて『アジア版NATO』を創設しようとしているのではないか、日本はそれを望んでいるのではないか」という観測を生むのは自然な流れ、と言える。

 

日本政府は、そんな野心を露ほども見せていないが、中国や北朝鮮はそう見ている。たとえば、中国の共産党系新聞、環球時報の英語版「グローバルタイムズ」電子版は6月26日付で、こう書いた。

 

〈日本は戦略的孤立を深め、米国による(日本防衛の)約束が果たされるのかどうか、心配するあまり、中国を封じ込める日本を支援してもらうために、米国とNATOをアジア太平洋地域に引き出すのに懸命になっている〉


〈岸田首相はウクライナ危機と中国脅威論を吹聴して「拡大版NATOが不可欠」というスタンスを固めているように見えるが、アナリストたちは「アジア版NATO」あるいは「グローバルNATO」を支持するのは時代に逆行し、「新たな冷戦」もしかしたら「熱戦」につながるだけだ、と警告している〉
 

PBPについても、こう書いている。

 

〈アナリストたちは、PBPをAUKUSの非公式拡大版とみている。中国が太平洋島嶼国とさまざまな協力協定に合意した後、ニュージーランドは反中国のニンジンに飛びついた。一方、日本は向こう見ずで危険な一連の内政、外交政策に踏み出した。それは、アジア太平洋地域の平和と安定を深刻に脅かす〉
 

北朝鮮も6月26日、外務省のWEBサイトで「米国は日本や韓国と合同軍事演習を実施して、アジア版NATOを築こうと、本格的に動いている」と非難した。

 

中国や北朝鮮の「心配」は妥当なのか。

 

日本を縛る「足かせ」

私の結論を先に言えば、心配するには及ばない。仮に、アジア版NATOのような話が具体的に動き出したとしても、日本は憲法を改正しない限り、参加する、あるいは参加できる可能性はほとんどない。日本は集団的自衛権のフル行使を認めていないからだ。

 

これは簡単な話である。

 

アジア版NATOが本家のNATO同様、集団的自衛権を前提とする限り、どこかの加盟国が攻撃されれば、日本を含めた全加盟国は一丸となって反撃しなければならない。だが、日本は武力行使に次のような3条件を課している。

 

 

すなわち「我が国に対する武力攻撃、または密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国民の生命や幸福追求などの権利が根底から覆される明白な危険がある場合」で「他に適当な手段がなく」かつ「必要最小限度の実力行使にとどまる」という条件だ。

                                           岸田文雄首相[Photo by gettyimages]

 

こんな条件を課している限り、日本は他の加盟国と一緒になって、全力で反撃するのは不可能だ。

 

言ってみれば、いまの日本は「自分が攻撃されたら、仲間に全力で守ってもらいたいが、仲間が攻撃されたときは、日本が反撃できるかどうか、分かりませんよ」というスタンスなのである。普通の国が、そんな日本を仲間に加えようと思うわけがない。

この議論は、国連安全保障理事会の常任理事国入り問題でも同じである。

 

日本政府は常任理事国入りを目指して、長年、運動を繰り広げている。だが、米国を含めて、国際社会の中には「日本は平和維持活動にフル参加できないのに、他国に負担を強いる決定をする安保理の椅子を占めようというのか」という批判がある。

 

一言で言えば「自分は安全なところにいて、他国に犠牲を強いるのか」という批判だ。これでは「卑怯な態度」と言われても仕方がない。外務省は「平和国家ニッポンの姿勢は、世界で高く評価されている」などと宣伝するが、一皮むけば、世界には「都合のいい国」と見られているのだ。政府は、そういう本質的問題を国民に説明しようともしていない。

 

この点は、ベテランのジャーナリスト、古森義久氏が最近のコラムで指摘している。

 

もしも、日本がアジア版NATOに参加したいのであれば、まずは憲法を改正して、集団的自衛権を全面的に認める必要がある。それまでは、安全保障条約を結んでいる米国を頼りにして、それでも心配なら、自力で防衛力を飛躍的に向上させるしか道はない。

 

憲法を改正しないまま、アジア版NATOの話が具体化したら、どうなるか。日本は「置いてきぼり」になるだろう。つまり、韓国やオーストラリア、ニュージーランドは参加するが「日本は、自分の憲法を改正してからだね」という話になるのだ。これまた当然である。

                                         韓国の尹錫悦大統領[Photo by gettyimages]
 

フィンランドとスウェーデンは、反対していたトルコが賛成に回って、NATO参加に道を開いた。両国は当然、自分を守ってもらうだけなく、同盟国が攻撃されれば、全面的に反撃に加わる方針だ。日本も世界の常識にしたがって「国のかたち」を修正しなければならない局面を迎えている。

 

6月29日に配信した「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」は、健康シリーズとして、株式会社「オールアバウト」の江幡哲也代表取締役社長兼グループCEOをゲストに迎えて、シニアベンチャーのすすめや自己コントロール、マネジメントなどについて、お話を聞きました。
 
 
6月22、23日には、本文でも触れた古森義久氏をゲストに迎えて、日本の核武装問題や米国の内政などについて聞きました。
 
 
 
また、6月24日配信の「虎ノ門ニュース」では、ジャーナリスト、須田慎一郎さんとともにニュース解説し、私のコーナー「素晴らしき!?左翼の世界」もスタートしました。こちらもどうぞ。